会計事務所承継
【失敗事例1】
後継者不在のまま迎えた突然の事態
地方都市で30年以上にわたり税理士業を営んできた高齢の税理士(70代後半)が、突然倒れ、重篤な状態となった。事務所には複数の職員がおり、その中には配偶者も含まれていた。
配偶者は、日々の事務所業務を続けながら病院での看病にも対応することとなり、
精神的・肉体的に大きな負担を抱える状況に置かれていた。
一方、ひとり息子は税理士資格を取得しておらず、東京で会社員として勤務していたため、
事務所を引き継ぐことは想定されていなかった。
容体悪化の情報が周囲に広まると、近隣の税理士から顧問先引継ぎの申し出が相次いだ。配偶者は十分な検討や整理を行う余裕のないまま、顧問先に迷惑をかけられないという思いから、引継ぎに同意していくこととなった。その結果、事業承継として整理される前に、やむを得ず個別対応が先行する形で、顧問先の大半が引き継がれていった。
その後、mmapへ相談が寄せられたものの、すでに顧問先の多くは引継ぎが進行しており、事業として承継を検討できる状況ではなかった。
結果として、事務所の業務継続は困難となり、職員は全員退職、長年続いてきた事務所は閉じることとなった。
本件は、突然の病気という避けられない事態に加え、後継者不在のまま事前準備がなされていなかったことで、配偶者に過度な負担が集中し、事務所・職員・顧問先を守りきれなかった失敗事例である。
元気なうちであれば選択できたはずの承継方法や支援策も、緊急時には検討する時間すら残されていないことが少なくない。事業承継は「引退の直前」ではなく、万が一に備えて早めに準備することが重要である。
mmapでは、こうした事態を防ぐため、平時からの事業承継準備や緊急時対応の整理について支援を行っている。